歌の練習【奥歯と声の芯・ピッチの関係性】

 

下の親不知の処置をしなければならず、

とうとう観念して抜いてもらった。


抜いたその日に録音があり、

制作と録音のための作業をいつも同様

したわけだけど。


痛みはしょうがないとして

こんな状態で歌を歌うことも

ましてや録音することも初なんで、

それはそれで新しい発見があった。


まず、歌うときには

奥歯とその周辺の筋肉をかなり

使わなければいけないのだということ。


知らないだけで無意識に

相当使ってたということがよく分かった。


長く歌っている人間にとっては

元々この意識はなくても結果的に

もう当たり前のように

なってしまっていることのはずで、


なかなかこんな機会に遭遇する

ことでもない限り知るきっかけはない。


口の奥を大きめに負傷している

ようなもんなので当然痛い。


痛いので力が入らない。

無理に力を入れようとするとしんどい。


そうなると声の芯も作れないし

芯が作れないからピッチ調整も難しく

どうしてもゆるくするしかなくなる。


それも片方だけだから恐らくだけど

正常な状態の右側とのバランスも悪く

余計にヘンな力の偏りが出る気がする。


今回は一応アイドル用だったんで

ピッチは屈辱を飲み込んで

ガッツリ補整前提と己を納得させたが、


声の芯についてはむしろ

私のいつもの声より考えようによっては

ちょっと芯がないくらいのほうが

楽曲には向いてたかもしれないなと思った。

結果オーライ?なのか。苦笑


結果オーライといえば、

先日も別の録音の前の日に

仕事の関係でけっこう飲んで

声枯れしていたことがあった。


正直、私としてはちょっと

その状態での歌唱はしんどかったけど


実際には枯れてることが功を奏して

いつもはファルセットで塩梅良く出せない

高さの音を都合良く表声と裏声に

切り替えて歌うことができた。


録音トラックについても

声枯れのせいで若干しんどいのが

逆にグッとくるニュアンスになったようで

むしろそれが良かったと後で言われる

なんて一幕もあったり。


その時の作品はどちらかというと

いつものアイドル歌唱ではない

雰囲気あるシンガーソングライター系

J-POPみたいな感じの曲(素のスタイルに近い)で


私の声は通常でも多少ハスキーだけど

声枯れによって倍音が加算された形。

結果としてトラックはより良いものになった。


歌は生身の楽器演奏だから

ジャンルによっては王道よりも邪道が

魅力を発揮するなんてこともある。


もちろん今回の奥歯とその周辺筋

みたいに基礎的なものはある程度

健常な状態に越したことはないけれど


あまりコンディショニングに

神経質になり過ぎないってことも

時には必要だというのは


若い歌唱者さんたちも何となく

頭の片隅に置いておくといいかもしれない。


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