シンガーソングライターと歌手の違い

その昔、歌を歌うことを職業とする人は

歌唱を専門とすることが大半でした。

 

基本は生まれつき良い声を持っていて

誰に教わるでもなく上手に歌える才能を

持ち合わせた、ごく限られた人だけが

これを収入にすることができたのです。

 

同時に、歌を歌うという職業には

歌うための楽曲が必要不可欠となります。

 

その楽曲がオリジナルの作品なのか

誰かの既存の作品のカバーなのか

大きく分けて2つの選択肢が存在します。


もし仮にオリジナル曲を歌う場合

最低でも、誰かがその歌詞とメロディーを

制作しなければなりません。

 

今のような商業音楽という業界が

事実上できたのは戦後からのことなので

歴史としてはかなり浅い話になりますが、

 

現在のJ-POPと呼ばれるジャンルの

音楽が主流になるまでの時代というのは

 

歌詞を書くのは作詞家先生の仕事

旋律を書くのは作曲家先生の仕事


という明確な棲み分けが存在していました。

(1970年代のフォークソングやニューミュージック時代が

おおよそ転換期の始まりと言えると思います。)

 

そのため歌を歌う人は

あくまで歌うことが専業であって

自ら歌詞を書いたり、旋律を書いたりする

というようなことはなかったのです。

 

今でこそ音楽業界というのは

一つの独自枠のようなイメージで

”The芸能”のド真ん中とはまた別の

位置付けが定着しているけれども

 

昭和の昔は音楽も立派なThe芸能で

業界内の暗黙のルールみたいなところから

歌う本人が作詞作曲もするなんてのは

先生方のお仕事領域を浸食するのと

意味合い的にイコールだったわけです。

 

そのような

 

歌を歌うことだけを専業とする


種類の人たちを基本的に【歌手】

一般的にも業界的にも呼びます。

 

今でもそういうスタイルで

歌を歌って生活をしている方々は

まだそれなりにいらっしゃいますが、

 

とくに1990年代以降、J-POPという

枠組と概念が世の中に定着して以降は

 

それまでのルールとは全く関係なく

自分もしくは自分たちで楽曲を制作し

歌ったり演奏して販売していくスタイルが

完全に定着したように思います。

 

このような歌手自身が作詞作曲もする

スタイルのことを

 

シンガーソングライター

 

と呼びますが、

以前から「作曲はしないが作詞はする」

という歌手の方がいますね。

 

業界的な感覚でいうと

これは厳密には歌手という棲み分けで

シンガーソングライターとは呼ばれません。

 

そのかわりになるのが

アーティストという呼称ですが

 

このアーティストというのは

歌だけ歌っている人にも使われるので

必ずしも歌手自身が何かしらの楽曲制作に

携わっていなければ対象外、という

ことでもありません。

 

シンガーソングライターの大前提は

作曲をすることができるか

作詞作曲のいずれもできる人である

 

ということなるかと思います。

 

少なくとも作詞だけ担当する人のことを

業界的にはやはりシンガーソングライターと

位置付ける風習はないですね。

 

ちなみに歌手とシンガーというのは

まあ基本的な意味は同義で

 

シンガーはジャンルによって

人を選ぶかな?というイメージです。

 

たとえば演歌歌手の方のことを

シンガーとは世間感覚でも思わないですよね?

 

シンガーはざっくりいうと

ポップスとかロックといったジャンルで

歌うを歌う人のことを指す場合の呼称

という定義と思っておけばいいと思います。

 

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